「モビリティ関節」と「スタビリティ関節」とは?運動連鎖からわかる不調の仕組み
- 22 時間前
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「腰が痛いから腰を揉んでもらう。」
それで楽になることもありますが、すぐに元へ戻ってしまう経験はありませんか?
実は、不調の原因は痛い場所ではなく、その前後の関節に隠れていることがあります。
なぜなら、私たちの身体は歩く・しゃがむ・ひねるなど、あらゆる動作で複数の関節が連携しているからです。
このような身体全体の連動を「運動連鎖(キネティックチェーン)」といいます。
本来よく動くべき関節が硬くなると、その不足した動きを別の関節が補おうとします。
逆に、安定すべき関節が必要以上に動いてしまうと、そこに負担が集中し、痛みやケガにつながることがあります。
つまり、「腰が痛いから腰だけを見ればいい」とは限らないのです。
この記事では、運動指導やリハビリテーションの現場で広く活用されている「Joint by Joint Approach」をもとに、モビリティ関節とスタビリティ関節の役割、そして運動連鎖の視点から不調が起こる理由を解説します。
関節にはそれぞれ「役割」がある
Joint by Joint Approachでは、体の関節には大きく2つの役割があると考えます。
モビリティ(Mobility)=大きく動く役割
スタビリティ(Stability)=安定させる役割
そして、人の体はこの2つが交互に並ぶ傾向があります。

頸椎:スタビリティ(上位頸椎はモビリティとも言われる)
肩甲上腕関節:モビリティ
肩甲胸郭関節:スタビリティ
胸椎(TH1~12):モビリティ
腰椎(L1~5):スタビリティ
股関節:モビリティ
膝関節:スタビリティ
足関節:モビリティ
足部:スタビリティ
この考え方は、理学療法士のGray Cook氏と、ストレングス&コンディショニングコーチのMike Boyle氏が提唱したものです。現在では、スポーツ現場やリハビリテーションの分野で広く活用されており、「どこが痛いか」だけでなく、「どの関節が本来の役割を果たせていないのか」という視点で体を評価する考え方として知られています。
身体をひねるのは、腰ではなく上背が中心(胸椎1番~12番)

胸椎は本来、体を左右にひねる「回旋」の動きが得意な関節です。一方で、腰椎(腰)は安定性を保つ役割が強く、大きくひねるようには作られていません。
実際に、胸椎の回旋可動域は約30度あるのに対し、腰椎は全体でも約10度程度しか回旋できないとされています。
そのため、ゴルフや野球のスイング、テニスや格闘技など、体を大きくひねるスポーツで胸椎の回旋が十分に出ないと、その不足した動きを補おうとして腰椎が必要以上に回旋するようになります。
本来、大きな回旋を繰り返すようには設計されていない腰椎に負担が蓄積すると、筋肉や椎間関節、椎間板へのストレスが増え、腰痛や違和感につながる可能性があります。
これが、Joint by Joint Approachでいう「モビリティ関節の機能低下を、スタビリティ関節が代償してしまう」という代表的な例です。
日常生活で多いのは「胸椎が伸びない」ことで首や腰に負担がかかること
一般の方では「ひねる動き」だけでなく、胸椎をしっかり伸ばす(伸展する)動きが失われているケースが多く見られます。
デスクワークやスマートフォンの使用が続くと、背中は丸まり、胸椎は常に曲がった(過後湾)姿勢になります。

この状態が続くと、胸椎は本来持っている伸展可動域が低下し、体を反らしたり、上を向いたりする動きが苦手になります。
すると、その不足した動きを補うために首や腰が必要以上に反るようになります。

例えば、高い棚の物を取るときや天井を見上げるとき、本来であれば胸椎が自然に伸展して体全体で動きを分担します。
しかし、胸椎が十分に伸びないと、頸椎は大きく反り、腰椎も過度に反ることで代償します。
この状態が繰り返されると、首や腰の筋肉や関節に負担が蓄積し、首こりや肩こり、腰痛につながることがあります。
さらに、そのような負担が長期間続くことで、頸椎や腰椎の組織にストレスが蓄積し、椎間板や椎間関節の変性を進める一因となる可能性があります。
これもJoint by Joint Approachでいう、「本来動くべきモビリティ関節が十分に機能しないため、安定性を担う関節が代償してしまう」代表的な例です。
日常生活では「首が痛いから首だけをほぐす」「腰が痛いから腰だけをストレッチする」と考えがちですが、胸椎の動きを改善することが、首や腰への負担軽減につながるケースも少なくありません。
股関節が硬くなると
股関節は、人体で最も大きな球関節で、前後・左右・ひねる動きなど、さまざまな方向へ動くことが求められます。
しかし、デスクワークや車の運転などで座る時間が長いと、股関節は曲がった姿勢が続きます。
すると、股関節の前側の筋肉が硬くなり、脚を後ろへ引く動きや、股関節をひねる動きがしづらくなります。
その不足した動きを補うために、本来は安定していたい腰が必要以上に動き、腰への負担が増えてしまいます。
つまり、「腰が悪い」のではなく、股関節が十分に動いていないことが原因の一つになっている場合もあります。
足関節(足首)が硬くなると
本来、足関節は歩く・走る・しゃがむために十分な可動域が必要です。
しかし現代では、
・長時間座る生活
・運動不足
などにより足首を大きく動かす機会が減っています。
その結果、足首は硬くなりやすくなります。
足首が動かなくなると、しゃがむ動作では膝や腰が代わりに動き、膝痛や腰痛につながることがあります。
まとめ
現代人は座る時間が長く、スマートフォンやパソコンを使う時間も増えています。
その影響で、本来よく動くべき胸椎・股関節・足関節などが硬くなりやすく、その代償として膝や腰、肩に負担がかかることは少なくありません。
もし慢性的な不調に悩んでいるなら、根本的な改善として「痛い場所だけ」ではなく、「その前後の関節は本来の役割(モビリティ・スタビリティ)を果たせているだろうか?」という視点で体を見直してみてください。
また次の機会に、運動連鎖のエラーがスポーツ障害をどのように引き起こすのかについて解説します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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