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血糖値スパイクが危険?ダイエットと健康に「血糖値コントロール」が必要な理由【KARALABダイエットノート#1】

  • 執筆者の写真: 渡邉
    渡邉
  • 4 日前
  • 読了時間: 11分

更新日:1 時間前

ダイエットに関する予備知識シリーズ第一弾として、

まずはダイエットや健康の土台となる「血糖値」について整理して解説します。



食後に眠くなる、甘いものが止まらない、気づけば夕方だるい…。


もしあなたがこんな症状を感じているなら、その裏で「血糖値スパイク」が起きている可能性があります。


血糖値スパイクは、太りやすさ・食欲の暴走・疲労感・病気リスク

すべてに深く関わる“見逃されがちな危険サイン”です。


この記事では、


・ 血糖値とは何か?

・なぜ血糖値スパイクが太る原因になるのか?

・どうやって防ぐか?


までをわかりやすく整理して解説します。


実際に、身体の中で起きている仕組みを理解することで、

他の人にも自信をもって説明できるようになります。



先に結論を知りたい方は、

目次「9. 今日からできる血糖値コントロール習慣」からお読みいただけます。



📝【目次】





1. 血糖値とは?


血液の中に含まれるブドウ糖(エネルギー)の量のこと。


食べたご飯などの糖質(炭水化物)も消化・分解されてブドウ糖となって血液の中を流れていきます。


よく「頭(脳)が疲れたらラムネ(ブドウ糖)を食べると良い」と言いますよね。


脳にとって欠かせないエネルギーがブドウ糖です。(体にも使います)


脳に届く糖が減る(血液中の糖が少ない)と脳の働きが落ちて、

俗にいう低血糖症状が現れます。(ぼーっとしたり、フラフラしたり等)


さらに詳しい血糖値の説明を見る

専門的には「血中グルコース濃度」と呼ばれ、

血液に乗って全身へエネルギーとして運ばれていきます。

使いきれなかった分は、

筋肉や肝臓に「グリコーゲン」として貯蔵され、必要に応じて再び血糖として使われます。 ※脳は1日約120gのブドウ糖を消費します。 糖が足りないときは、糖の貯金=グリコーゲンを分解して補給。 それでも足りないと、「糖新生」という防衛反応が起こり、

脂肪を分解して糖を作ったり、

さらに緊急事態になると、筋肉を分解して糖を作る段階に入ってしまいます。




2. 血糖値スパイクとは?食後の眠気・だるさは危険なサイン?



「血糖値スパイク」とは、

食後に血糖値が一気に上がり、その後ガクッと下がる現象 のこと。


この急降下が起こると、


  • 食後の強い眠気

  • だるさ

  • 甘いものを欲しやすい

  • イライラ

  • 集中力低下

  • 脂肪がつきやすくなる

  • 寝つきの悪さ

  • 夜中目覚める


などの症状を引き起こします。


将来的な病気リスクにも関わる重要なサイン。

食後の眠気・だるさは隠れスパイクの典型です。


実は、「血糖値が急激に下がることで脳へのエネルギー不足」に陥り、その結果、集中力が落ちたり、眠気、イライラといった症状が現れていたのです。


集中したいから昼は軽めに」という行動は、とても理にかなっています。



夜の寝つきの悪さ、悪夢などに悩む方も、血糖値スパイクの可能性もありますので、後述する血糖値コントロールを試す価値があります。





3. なぜ血糖値スパイクは太るのか?血糖値が脂肪を貯め込む仕組み



血糖値が急激に上がると、体はそれを下げるために インスリンを大量に分泌 します。


インスリンには

  • 脂肪分解をストップする

  • "脂肪を貯める"モードON


という作用があるため、スパイクが起きるほど太りやすくなります。


脂肪分解をストップについて、より詳しく

脂肪が燃えるためには、 脂肪細胞から脂肪酸が血中に放出 →筋肉へ運ばれて筋肉のミトコンドリア (エネルギーを作る器官=工場)で燃焼される。

しかしインスリンが多いと、血糖値を下げることを優先して、最初の段階でストップされる。(血中に流れない)


補足:心肺持久力や筋持久力がつくとミトコンドリアが増えて脂肪燃焼能力が向上、疲れにくくもなる

"脂肪を貯める"モードONについて、より詳しく

血糖値が高く(血液中の糖が多すぎて)筋肉や肝臓に入りきらなかった糖が脂肪細胞へまわされて、糖→脂肪に変換して貯蔵される。


体にどんな反応が起こってインスリンが出るの?詳しく

ホメオスタシス(恒常性)といって体の自動調節機能により、一定値から外れたら、オート(自動)で元に戻そうとする機能があって、血糖値が高くなったら膵臓が自動で感知してインスリン(ホルモン)を分泌します。


もし血糖が高いまま持続するとどうなってしまうか

・血管の壁が傷つく ・炎症が起こる

・血管が弱くなる ・血液がドロッとしやすくなる

動脈硬化

糖尿病リスクUP 心筋梗塞・脳卒中リスクUP

末梢神経障害(しびれ)

目・腎臓への障害(糖尿病合併症)


糖尿病になるとインスリンの量が減ったり、機能しなくなるため血糖値が下げられず大変危険です!(インスリン投与が必要に)





4. 甘いものが止まらないのは血糖が原因?


血糖が急降下すると、脳が糖不足=危機と判断して食欲中枢を刺激して


  • 強い空腹

  • 甘いもの衝動

  • イライラ


が起こります。

「食べたのにすぐお腹が空く」これは血糖値スパイクの典型反応です。




5. 血糖値スパイクが病気リスクを1.5〜2倍にする理由とは?



👉パターンA


食後の血糖値急上昇により血管内皮を傷つける(血管にダメージ)


→血管が硬くなり血流が悪くなる


高血圧・冷え・だるさにつながる


動脈硬化リスク


心筋梗塞・脳卒中のリスクが 1.5〜2倍程度 に上がる



👉パターンB


①血糖値急上昇に対してインスリンが大量に出続けることで


→すい臓β細胞(インスリンを出すところ)が疲労


インスリンが出しにくくなる


②大量に出たインスリンの受け口の細胞が疲労


インスリンが効かない体になっていく


これらにより“血糖を処理できない体”=2型糖尿病 に進行します。


インスリンが効くと体はどうなる?

インスリンは血液を流れながら、

  • 筋肉

  • 肝臓

  • 脂肪細胞

などの表面にある インスリン受容体 に結合。

(インスリンという鍵が受容体という鍵穴に差し込まれた状態)


この状態になると細胞内の「GLUT4(グルット4)」という糖の取り込み口が、細胞の表面に移動して、血液中のブドウ糖を「いらっしゃーい」と細胞内に取り込む。


これにより、筋肉・肝臓・脂肪細胞が糖を取り込んだ分、

血液中の糖が減り→血糖値が落ち着く


👉パターンC


インスリンが多い状態では肝臓で

糖 → 脂肪をつくる「脂肪合成」が活性化 (糖の貯蔵量限界が少ないため余分な分を脂肪に)


・脂肪肝

・中性脂肪増加

・内臓脂肪増加

・高血圧


などメタボの流れに直結します。


肝臓の糖・脂肪の貯蔵量の限界とは

糖は100~120gほど、に比べて脂肪はほぼ無限に貯めこめる! 脂肪細胞は肥大化に加えて増殖も可能なため!

体の健康リスクが大きいのでそちらが限界を迎えそう...


👉その他

認知症(アルツハイマー)

血管ダメージ+インスリン抵抗性は脳の炎症を促し、認知症リスクを高めるとも言われています。




6. 皮膚トラブル(老化・乾燥・ニキビ悪化)実は血糖値スパイクから!?


インスリン大量分泌により、皮脂腺を刺激して、

皮脂が増える → 毛穴が詰まりやすくなる


さらに血糖とタンパク質が結びつく“糖化”により強い炎症を誘発、


  • 肌の赤み

  • ニキビの悪化

  • 炎症が長引く


など、慢性的な肌トラブルの原因になります。


糖化により皮膚のコラーゲンが硬化

→ハリ・弾力が失われることで、以下のトラブルが起きやすくなります。


  • シワ

  • たるみ

  • くすみ

  • 肌の弾力低下


美容面でも血糖値コントロールは必須です。




7. ストレスが血糖値と関係?怒りっぽい人は食べずに高血糖・高血圧に


パターンA:即効タイプ


ストレス刺激ON(心理的・身体的)


→ 交感神経(自律神経)がON

→ 副腎髄質から アドレナリン 分泌

→ 肝臓の糖(グリコーゲン)分解を強力に促進

→ 肝臓に蓄えられた糖(グリコーゲン)を一気に血中へ放出

血糖値&血圧上昇


👉「カッ」となったり「ドキッ」として急に上がるのはこれ。



パターンB:持続タイプ


強いストレスや長時間のストレスでコルチゾールが増える


→副腎皮質から コルチゾール 分泌

筋肉を分解(カタボリック作用)

→肝臓でブドウ糖を作り(糖新生)血中へ

血糖値上昇

しかもコルチゾールによりインスリンが効きにくくなり血糖も下がりにくい。



実は怒りやすい人は、食べていなくても血圧と血糖値が同時に上がっている



補足:筋肉の分解が起こると...


  • 回復が遅くなる

  • 筋肉量が落ちやすい

  • トレーニング効果が出にくい


ダイエットにも最悪...

⚠睡眠不足+ストレスは最大の敵





8. 今日からできる血糖値コントロール習慣



① 食事の順番を気を付ける


野菜(食物繊維)→タンパク質→ 炭水化物の順で食べる


たったこれだけ👌(※1)


一部の研究では血糖値の上昇幅が20~30%低下した例もあるようです。


なぜ効果的なのか詳しく

野菜(特に水溶性食物繊維)を最初に食べると、

胃の中で内容物の“かさ”と“とろみ”が先に作られます。

さらに、その一部が小腸に届くと、GLP-1 (他省略) などのホルモンが分泌され、

「胃からは少しずつ流してね」という指令が出されます。

これによって幽門(胃の出口)は全開にならず、

主食として食べるご飯やパンも、最初から“ゆっくりと小腸に送られる”状態になります。


食べる順番による違いイメージ

白米+肉+野菜の食事例


白米から食べた場合

  • 食後30分:血糖値 140〜160 mg/dL

  • 食後60分:120〜140 mg/dL

  • インスリン大量分泌


野菜→肉→白米の順で食べた場合

  • 食後30分:100〜120 mg/dL

  • 食後60分:100〜115 mg/dL

  • インスリン分泌も低く安定


② 食後に軽い運動をする


食後すぐ、軽くウォーキングをする

(座りっぱなしにしないだけでも大きく違う)


食後の血糖値変動👇


・食べ始めて10~15分くらいから血糖が上昇

・食べ始めて30〜60分後にピークになりやすい


→食後すぐ~30分以内の軽い運動でピークを下げる


(すぐ動くと消化不良や胃もたれが起きやすい方は食後5分~10分空けてからでOK)


今年発表された研究によると、食事直後10分歩くだけで効果が大きいと出ています。(※2)


軽めの運動により、筋肉が糖を取り込み、インスリンをほぼ使わずに血糖値が下がる。


数値で見る食後の血糖値比較

2025年のランダム化比較試験にて

被験者にブドウ糖を飲ませた試験によると


①何もしない(座位)

②摂取後から10分間のウォーキング

③摂取30分後から30分間のウォーキング


3条件を比較した結果、血糖値のピーク値が


①が約182 mg/dL

②が約164 mg/dL

③が約176 mg/dL


と、③が①とほぼ血糖値変わらず、

②の直後の10分歩行が有意に低い結果となっています。


運動量より、「すぐ動くことの効果が大きい」とわかります。




③ 血糖値の上がりやすい(高GI)食品を控える

GI値(グリセミック・インデックス)は

食品を食べた時に血糖値がどれだけ早く上がるかを数値化した指標です。


70以上は高GI

69~56は中GI

55以下は低GI

と分類されます。


血糖値の上がりやすい高GI食品を、

GI値の低い食品へ変更する例を挙げます。


例えば、GI値約85の白米を

→GI値約55の玄米や雑穀米、もち麦などに変える


GI値約90のパンを

→GI値50~60の全粒粉パン/ライ麦パンなどに変える


糖が多い高GIの甘味を低GIのナッツ類に変えるなど


もしGI値の高い食品でも、食べる順番やしっかり噛むことにより血糖値を抑えることもできます。



④ タンパク質を十分取り入れる


タンパク質の効果👇


・タンパク質は直接血糖値をほぼ上げない

・糖の吸収を緩やかにもする

・満腹ホルモン(GLP-1、CCK)も分泌


タンパク質は意外と意識しないと摂れていない人も多いです。

大まかな目安:自体重kg=g数のタンパク質

例. 60kgなら=60gを最低でも1日に摂るように。


筋肉をつけたい時はさらに多く(1.5倍前後)摂る必要があります。



⑤ 睡眠の質を上げる


睡眠不足はインスリンの効きが悪くなる。


理由:

・ストレスホルモン(コルチゾール)が慢性的に高くなる。

・交感神経がずっとオンになる

・食欲増進ホルモン(グレリン)が増え、満腹ホルモン(レプチン)が減る

・成長ホルモンが減り、脂肪が燃えにくく、筋肉が減りやすい




9. まとめ:安定した血糖値がダイエット成功につながる理由


・インスリンが落ち着き脂肪が燃えやすい状態に

・食欲が安定し、過食しない

・ストレス太りが改善

・病気のリスクも下げられる


血糖値が落ち着くと、体も心もダイエットしやすい状態になります。




おまけ:有酸素運動のベストタイミング


空腹時が一番脂肪が燃えやすい!


👉血液中に糖が少ない&脂肪が多いため



脂肪が燃えやすい&筋肉が分解されにくいのは、


「軽め~中程度」の息が乱れないくらいの運動。


例. ウォーキングや軽いジョギング


脂肪燃焼のメカニズム

【脂肪を燃やしてエネルギーに(β酸化)流れ】


  1. 体脂肪から脂肪酸が血液中へ放出

  2. 血液→筋肉のミトコンドリア(工場)に運ばれる

  3. 脂肪酸が細かく分解され、小さく(アセチルCoA)になり

  4. TCA回路(クエン酸回路)に入り

  5. 電子伝達系で大量のエネルギー(ATP)を作る


エネルギーを作る過程で体の酸素を必要とするため、酸素に余裕のある運動が脂肪燃焼に適している。

(激しい運動で呼吸が乱れていると酸素が足りない)


また、空腹時は脂肪酸が血中にたくさんある状態なため脂肪が一番燃えやすい。




📚参考文献

※1:

Imai S, Fukui M, Kajiyama S. Effect of eating vegetables before carbohydrates on glucose excursions in patients with type 2 diabetes. J Clin Biochem Nutr. 2014 Jan;54(1):7-11. doi: 10.3164/jcbn.13-67. Epub 2013 Dec 27. PMID: 24426184; PMCID: PMC3882489.


※2:

Hashimoto K, Dora K, Murakami Y, Matsumura T, Yuuki IW, Yang S, Hashimoto T. Positive impact of a 10-min walk immediately after glucose intake on postprandial glucose levels. Sci Rep. 2025 Jul 2;15(1):22662. doi: 10.1038/s41598-025-07312-y. PMID: 40594496; PMCID: PMC12216464.



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